楽天銀行 は、法人向けにも海外送金サービスを提供しています。
中小企業が「銀行口座での海外送金」あるいは「海外からの送金受け取り」に際して、貴重な選択肢となります。
本記事の内容
- 楽天銀行の海外送金(法人向け)の特徴
- 楽天銀行の海外送金(法人向け)を利用する際の留意点
- 楽天銀行で法人が海外から送金を受け取る場合
本記事を書いた人
- 海外永住ビザを取得しての海外移住経験あり
- 移住や投資を通じて「日本⇒海外」の海外送金を経験
- 帰国後は「海外⇒日本」の海外送金を経験
- 仕事上も小さな会社のCFOとして多様な海外送金を経験
この記事を書いているこまちは、海外送金歴かれこれ20年。いろいろな海外送金を体験してきました。
当ウェブマガジンでは、海外送金・外貨両替・国際派のマネーに関する情報を、わかりやすくご紹介しています。
本記事では、法人(特に中小企業)が楽天銀行の海外送金を利用するうえで理解しておきたい点をご紹介しますから、ぜひじっくり読んでみてください。
*当記事は、データの日付を個別に明記しているものを除いては、2020年7月時点での情報を参考にしています。各サービスのご利用にあたっては、必ず最新の情報をご確認ください。
*当記事は、法人による海外送金・海外からの送金受取りを対象としています。楽天銀行の個人向けの海外送金サービスについては、以下の記事を参考にしてください。
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【楽天銀行の海外送金(個人向け)】理解しておくべき手数料と留意点
続きを見る
楽天銀行の法人向け海外送金のメリットと特徴
楽天銀行の海外送金は、海外取引のある中小企業にとって利用しやすいサービスです。
インターネットで手続きは完結
楽天銀行はネット銀行なので、海外送金手続きもすべてインターネットで完了できます。
初期費用や月額使用料はなし
法人口座の海外送金サービスを利用するための初期導入手数料や毎月の使用料はありません。
海外送金の送金手数料は一律1,000円
法人口座から海外送金の(狭義の)送金手数料は、金額にかかわらずに一律1,000円。銀行の法人口座の送金手数料としては最安クラスになっています。
為替手数料に注意
実際には、下記で詳しく見るように、送金手数料だけでなく上乗せレートからくる為替手数料もかかってくるので、合計の送金コストで判断する必要があります。
多額の海外送金にも対応
1回あたりの最高送金限度額は、法人ビジネス口座で設定している「一回あたりの振込限度額」で、300万円~3,000万円の範囲で設定可能です。つまり、1回あたり3,000万円までの大きな金額の海外送金にも対応できます。
同じくネットで手続きが完結する各種の海外送金サービス(トランスファーワイズやSBIレミットなど)の法人向けサービスでは、日本⇒海外への送金の1回あたりの限度額は100万円までとなっています。
手数料の高いメガバンク以外の方法で「中小企業が100万円を超える海外送金をしたい」場合には、楽天銀行の法人口座が有力な選択肢となります。
多くの国へ送金可能
送金可能国は200ヶ国以上、68通貨に対応しています。
海外送金シュミレーターが便利
楽天銀行の海外送金シミュレーターで、送金受取国、送金通貨、送金金額、海外中継銀行手数料区分(送金者が手数料を負担か受取人が手数料を負担か)を入力すると、円貨換算額合計、手数料の明細、為替レート、着金までの所要日数の目安が表示されますので、とても便利です。
合計の送金コストを理解する
楽天銀行の法人海外送金では、送金手数料や一律1,000円と使いやすい設定ではありますが、両替レートの上乗せレートからくる為替手数料が発生します。
そのため、表面的な送金手数料だけでなく、総額の送金コストをきちんと理解する必要があります。送金コストをおさえて送金したいと考える方は、為替手数料を含めた合計の送金コストを理解して、総合的に判断をするようにしましょう。
ここでは、別の選択肢のひとつとして、為替手数料がかからないトランスファーワイズとの比較例を掲載しますので、参考にしてください。
下の表は、100万円を法人口座でオーストラリアへ送金しようという場合の、楽天銀行とトランスファーワイズを利用した比較シミュレーションです。(シミュレーションなので、細かい金額ではなく、全般的な傾向を知るための参考として捉えてください。)
【楽天銀行とトランスファーワイズの比較例:100万円を円⇒豪ドルでオーストラリアへ送金】*
トランスファーワイズ | ||
送金額 | 1,000,000円 | 1,000,000円 |
送金手数料 | 1,000円 | 6,322円 *1 |
中継銀行手数料 | 1,000円 | - |
送金可能額 | 999,000円 | 993,678円 |
両替レート | 82円 *2 | 80円 |
受取人の受取額 | 12,183豪ドル | 12,421豪ドル |
為替手数料 | 24,400円 *3 | 0円 |
手数料合計 | 25,400円 | 6,322円 |
公式サイト | 楽天銀行の 海外送金 | トランスファー ワイズの 海外送金 |
*:仲値で1豪ドル=80円の場合の比較例。振込手数料、中継銀行手数料・受取手数料を無視。四捨五入して計算。
*1: トランスファーワイズの送金手数料計算ツールより
*2: 楽天銀行の海外送金シミュレーターより推定
*3: (999,000/82 - 999,000/80) x 80= (12,183 - 12,488) x 80 = -24,400円
上記からわかることとして、3つ留意しておくべき点があります。
- 両替レートに為替手数料として上乗せレートが反映されている点を理解しましょう。
- 上乗せレートの分、受取人が受け取る金額が目減りします。つまり、同じ受取額を送るのに、その分多い資金が必要となります。
- 上乗せ手数料からくる為替手数料は見えづらいのですが、送金額に比例して大きくなるので、きちんと理解しておくことが大切です。
大切な資金を賢く使うためには、手数料合計で比較するという視点をもつようにしましょう。
100万円までの送金ならトランスファーワイズも選択肢
上記の計算例からわかるとおり、トランスファーワイズには両替時の上乗せレートがありません。
一般的な海外送金で隠れコストと言われる為替手数料がないので、手数料が透明でわかりやすいという特徴を持っています。
送金にかかる日数についても、海外送金にかかる日数・時間にあるとおり、銀行宛ての送金であれば、一番速いカテゴリに属しています。
トランスファーワイズは、法人向けのサービスも提供していますから、「安くて速い」海外送金方法を探している場合には、おすすめの選択肢のひとつです。
「安くて速い」海外送金方法を探している場合には、おすすめの選択肢のひとつです。
トランスファーワイズの法人口座送金の詳細については、下記の記事も参考にしてください。
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ワイズ(旧トランスファーワイズ)の法人向け海外送金【中小企業におすすめ】
続きを見る
楽天銀行の法人向け海外送金の留意点
とても便利な楽天銀行の法人向け海外送金ですが、利用にあたってはいくつか留意しておくべき点があります。
事前に口座開設&利用申込が必要
海外への送金には、楽天銀行の法人口座の開設をして、口座開設時に海外送金サービスの利用申込が必要となります。
口座の開設や維持に特に手数料はかかりませんが、口座開設までにある程度の日数がかかるので、余裕をもって準備することが大切です。
外貨預金から外貨のまま送金はできない
外貨で送金する場合には、円の普通預金から外貨へ両替をして送金することになります。
為替手数料としての上乗せレートに留意
前項の比較例で説明したように、円から外貨へ両替する際の為替レートには、為替手数料としての上乗せレートが含まれています。そのため、表面的な送金手数料のほかに、実際には為替手数料がかかっている点に留意が必要です。
楽天銀行の法人口座で海外からの送金を受け取る場合
楽天銀行の海外送金 では、海外からの商品代金の受取りや、子会社・関連会社からの資金受取りなど、送金の受取り(被仕向送金)をすることができます。
海外の送金元によっては「銀行口座」への送金しか対応していない場合もありますので、「銀行口座で海外送金を受け取る」場合に、楽天銀行の法人口座は頼りになります。
ただし、その利用にあたっては、いくつか留意しておきたい点があります。
受取手数料は2,000円
海外からの送金を受け取る際には、受取額にかかわらずに1回あたり2,000円の受取手数料が円口座から引き落としされます。
その他の手数料にも注意!
「1回あたり受取手数料2,000円」という説明だけに目が行きがちですが、その他の手数料にも留意しておく必要があります。
- 中継銀行手数料:楽天銀行へ資金が着金する前に中継銀行で手数料が差し引かれる場合があります。
- 為替手数料:外貨から円への両替時には、実際の為替レートよりも下振れした(低い)両替レートが使われており、この分の手取りが減った分が為替手数料となります。見えづらいコストですが、受け取る金額・通貨によっては、為替手数料は受取手数料や中継銀行手数料よりも大きくなることもあります。
手取りが想定より小さい場合もあり
当サイトのこまちの体験では、「日本円での手取りが想定より小さいな~」と感じる場合があります。
その理由の一つとしては、海外の銀行から楽天銀行へ直接に送金される場合はほとんどないので、多くの場合に「中継銀行手数料」が差し引かれる点です。
参考までに、当サイトのこまちのケースでは、楽天銀行の法人口座で海外から送金を受け取る場合には、中継銀行手数料として2,600円程度が引かれているケースが多いです。少額の受け取りの場合でも、受取手数料と合わせると4,600円ですから大きいですね。
もう一つの理由としては、米ドル・ユーロ以外の通貨で送金されてくる場合には、外貨⇒円への両替時の下振れレートがかなり大きく、見えづらいコストではありますが、為替手数料として結構な金額を支払うことになる点です。
このような点を考慮すると、海外の送金人がトランスファーワイズを使える場合には、「トランスファーワイズの利用を検討してもらう」というのも一つの選択肢となるでしょう。
外貨での入金は事前に外貨預金口座を開設しておく
海外からの送金を外貨で入金したい場合には、事前に外貨預金を開設しておく必要があります。
円高のときには、しばらく外貨で保有しておいて、円安になってきたら円預金へ振り替えする、という対応も考えられます。
海外の送金人へ必要事項を伝えておく
海外の送金人へ、受取銀行情報、中継銀行情報、受取人情報を英語で伝える必要があります。
楽天銀行のサイト内に、日本語・英語での説明と、日本語・英語でのメールサンプルが用意されています。
当サイトのこまちも、楽天銀行 の法人口座を利用しており、海外とのやりとりがある中小企業にとっては便利な法人口座だと感じています。
- 固定費がかからない
法人口座の場合、ネットバンク以外ではインターネットバンキング利用には毎月の利用料がかかるのが普通です。ネット銀行でも、法人の海外送金の利用には毎月の固定利用料がかかるケースもあります。そんななかで、楽天銀行の法人口座では、決まった固定費がありません。 - 海外送金サービスの固定費もない
海外送金はするけれども、それほど頻繁にあるわけではない、という中小企業にとってとても便利です。 - 海外からの受け取りが可能
ネットバンクの法人口座で海外送金を受け取れる銀行は限られています。受取りに際して手数料はかかりはしますが、中小企業にとっては貴重な選択肢といえます。 - 起業まもない企業にも使いやすい
楽天銀行のウェブサイトでの説明がとても詳しくわかりやすくなっています。小さなビジネスにとって頼りになる存在です。
まとめ:中小企業が大きな海外金額をする場合の貴重な選択肢
楽天銀行の海外送金は、「ネット完結」&「固定費がない」「大きな金額の送金にも対応」という点で、中小企業が海外送金するときに頼りになるサービスです。
100万円までの少額の送金であれば、トランスファーワイズを利用する選択肢と比較をして、状況に合うお得な方法を選択するようにしましょう。
いずれにしても、法人の銀行口座の海外送金サービスで固定費がかからないものは、なかなか見つけることができません。海外送金をする可能性がある場合には、楽天銀行の法人口座を開設のときに、海外送金サービスの利用も同時申込みしておくようにしましょう。
法人口座の開設手続きについては、下記のバナーリンクから詳細を確認することができます。