三井住友銀行を利用しての海外送金は、すでに三井住友銀行に口座を持っている方にとっては、海外送金方法を選ぶにあたり便利な選択肢となります。
本記事の内容
- 三井住友銀行の海外送金サービスの特徴
- 三井住友銀行の海外送金サービスを利用する際の留意点
- 三井住友銀行の海外送金サービスの基本的事項の整理
本記事を書いた人
- 海外永住ビザを取得しての海外移住経験あり
- 移住や投資を通じて「日本⇒海外」の海外送金を経験
- 帰国後は「海外⇒日本」の海外送金を経験
- 仕事上も小さな会社のCFOとして多様な海外送金を経験
この記事を書いているこまちは、海外送金歴かれこれ20年。いろいろな海外送金を体験してきました。
当ウェブマガジンでは、海外送金・外貨両替・国際派のマネーに関する情報を、わかりやすくご紹介しています。
三井住友銀行を利用しての海外送金は、2019年12月に窓口での海外送金手数料が値上げとなっているので、基本的にはSMBCダイレクトダイレクトでの手続きがおすすめです。この点も含めて、その概略を以下で詳しくお伝えいたします。
本記事では、三井住友銀行の海外送金を利用するうえで理解しておきたい点をご紹介しますから、ぜひじっくり読んでみてください。
*当記事は、データの日付を個別に明記しているものを除いては、2020年7月時点での情報を参考にしています。各サービスのご利用にあたっては、必ず最新の情報をご確認ください。
三井住友銀行による海外送金のメリット
SMBCダイレクトで手数料が割り引き
SMBCダイレクト(インターネットバンキング)を利用して海外送金手続きをする場合、窓口手続きの手数料よりも4,000円割引の設定となっています。(海外他行宛てで1回あたり送金手数料3,500円です。)
いろいろな手数料に注意
実際には、下記で詳しく見るように、送金手数料だけでなく為替手数料などの他の手数料もかかってくるので、合計の送金コストで判断する必要があります。
SMBCダイレクト・グローバルサービスで海外へ行っても利用可能
海外へ行ってからも利用できる銀行口座は限られますが、SMBCダイレクト・グローバルサービスを利用することで、海外勤務・海外留学の期間にも、少額の月額利用料でSMBCダイレクトを利用できます。
海外から自分自身で送金手続きできるのはもちろん、国内外の送金・振込み手続きができるので、長期の海外滞在時にも便利です。
詳しくは、以下をご参照ください。
三井住友銀行の非居住者向けサービス
合計の送金コストを理解する
三井住友の海外送金では、表面的な送金手数料に加えて、上乗せレートからくる為替手数料がかかっています。
送金コストをおさえて送金したいと考える方は、為替手数料を含めた合計の送金コストを理解&別の選択肢も合わせて検討して、総合的に判断をするようにしましょう。
ここでは、別の選択肢のひとつとして、為替手数料がかからないトランスファーワイズとの比較例を掲載しますので、参考にしてください。
下の表は、30万円をオーストラリアへ豪ドルで送金しようという場合の、三井住友銀行(窓口と外貨預金)とトランスファーワイズを利用した比較シミュレーションです。(シミュレーションなので、細かい金額ではなく、全般的な傾向を知るための参考として捉えてください。)
【三井住友銀行とトランスファーワイズの比較例:30万円を円⇒豪ドルでオーストラリアへ送金の場合】*
三井住友銀行 外貨預金 |
トランスファーワイズ | |
送金額 | 300,000円 | 300,000円 |
送金手数料 | 3,500円 *1 | 1,940円 *2 |
送金できる金額(両替額) | 296,500円 | 298,060円 |
上乗せレート | 1.25円 *3 | 0円 |
両替レート | 81.25円 | 80円 |
受取人の受取額 | 3,649豪ドル | 3,726豪ドル |
為替手数料 | 4,560円 *4 | 0円 |
リフティングチャージ | 2,500円 | 0円 |
手数料合計 | 10,560円 | 1,940円 |
送金にかかる日数 | 公式発表見当たらず | 0-2営業日 |
公式サイト | 三井住友銀行の外国送金 | トランスファーワイズの海外送金 |
*:仲値で1豪ドル=80円の場合の比較例。振込手数料、中継銀行手数料・受取手数料を無視。四捨五入して計算。
*1: 他行宛ての場合
*2: トランスファーワイズの送金手数料計算ツールより
*3: リアルタイム為替レートの上乗せレート1.25を利用
*4: (296,500/81.25 - 296,500/80) x 80 = (3,649- 3,706) x 80 = -4,560円
総額の送金コストの把握には、両替レートの上乗せレートからくる為替手数料の理解が重要であることがわかります。
大切な資金を賢く使うためには、手数料合計で比較するという視点をもつようにしたいですね。
トランスファーワイズについて
上記の計算例からわかるとおり、トランスファーワイズには両替時の上乗せレートがありません。
そのため、一般的な海外送金で隠れコストと言われる為替手数料がないので、手数料がわかりやすいという特徴を持っています。
送金にかかる日数についても、海外送金にかかる日数・時間で詳しく見たとおり、銀行宛ての送金であれば、一番速いカテゴリに属しています。「安くて速い」海外送金方法を探している場合には、おすすめの選択肢のひとつです。
トランスファーワイズの特徴については、下記の記事も参考にしてくださいね。
三井住友銀行による海外送金の留意点
三井住友銀行の海外送金を利用するにあたっては、いくつか留意しておきたい点があります。
・三井住友銀行に口座を持っていることが必要
SMBCダイレクトだけでなく、窓口での海外送金であっても、三井住友銀行に口座を持っていることが必要となります。
・SMBCダイレクトでは事前に届出をした送金先のみへ送金が可能
SMBCダイレクト(インターネットバンキング)での送金手続きには、事前の送金先登録が必要です。すでに三井住友銀行に口座を持っている場合でも、ある程度のスケジュールの余裕が必要です。
・リフティングチャージ
円貨を円のまま送金、あるいは外貨を外貨のまま送金する場合には、リフティングチャージが最低2,500円かかってきます。
・為替手数料高めの設定
上記の比較シミュレーションで見たように、三井住友銀行の海外送金は上乗せレートが高めであるので、為替手数料が他の方法と比較したときにかなり高くなる点に留意が必要です。
三井住友銀行での海外送金は、総額の送金コストは高めとなるので、「できるだけ安い手数料で海外送金したい」と考える人には向きません。
海外送金の手数料が高くても、「他の銀行等に口座開設する時間がない」「自分のメインバンクで手続きしたい」という方にとっての選択肢といえるでしょう。
多額の送金にはFX口座を利用した海外送金が選択肢
多額の海外送金の場合には、円⇒外貨への両替についてはセントラル短資FXなどのFX口座を利用した海外送金で説明した方法を利用することで、為替手数料をぐっと抑えることができます。
FX口座開設などの多少の手間はかかってきますが、節約できる金額がとても大きいので、検討に値します。詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
-
【FX口座での両替】多額の海外送金で手数料を節約する方法
続きを見る
三井住友銀行による海外送金の基本的事項
1. 為替マージン(USDの例) |
窓口・電話: 1ドルにつき1円 三井住友銀行の店頭・電話での為替レート SMBCダイレクトの外貨預金: 1ドルにつき0.5円 (6通貨USD, EUR, GBP, CHF, AUD, NZDのみリアルタイムレートでの割引の為替マージンが設定) 三井住友銀行のリアルタイムレート 三井住友銀行の外貨預金 インターネット取引の特徴と留意点 |
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2.. 送金手数料(1件あたり) |
窓口: 7,500円 SMBCダイレクト: 3,500円 外国関係手数料のご案内 |
3. リフティングチャージ |
外貨送金時: 送金金額の1/20%(最低2,500円または25USドル) 円貨送金時:送金金額の1/20%(最低2,500円) |
4. 受取手数料 |
送金人負担とした場合2,500円(後日に差額請求の場合あり) |
5. 受取手数料の送金人負担 |
可 |
6. 中継銀行手数料 |
要確認 |
7. 円送金 |
可 |
8. 取扱い通貨 |
窓口での扱い通貨は要確認 インターネットは7通貨 (USD, GBP, JPY, CHF, EUR, AUD, NZD) |
9. 送金限度額 |
窓口:要確認 SMBCダイレクト:1日あたり300万円以内、1ヵ月あたり500万円以内(一部の国・地域には別の金額制限あり) |
10. 送金可能国 |
多数 |
11. 送金日数 |
送金先による |
12. 窓口送金 |
可 |
13. 電話送金 |
不可 |
14. インターネット送金 |
SMBCダイレクトにて可(外国送金先口座の登録が必要) |
*上記は、記事掲載・更新時点での個人による海外他行あて電信送金を前提にしています。ご利用に当たっては、必ず最新の詳細情報をご確認ください。
まとめ:他のアカウント開設の時間がないときの急ぎの選択肢
三井住友銀行の海外送金は、すでに三井住友銀行に口座をもっている方が「急ぎで海外送金したい」という場合に貴重な選択肢となってくるでしょう。
ただし、「合計の送金コストが高い点」「多額の送金であればあるほど手数料が比例して大きくなる点」を理解して、総合的に判断したいところです。
その他の一般的な状況においては、より安い方法(トランスファーワイズやFX口座を利用した海外送金など)を賢く利用して、大切な資金を有効に使うようにしましょう。