三菱UFJ銀行は、外国為替専門銀行であった旧東京銀行時代からの歴史的は背景もあって、メガバンクのなかでは充実した海外送金関連のサービスを提供しています。
本記事の内容
- 三菱UFJ銀行の海外送金サービスの特徴
- 三菱UFJ銀行の海外送金サービスを利用する際の留意点
- 三菱UFJ銀行の海外送金サービスの基本的事項の整理
本記事を書いた人
- 海外永住ビザを取得しての海外移住経験あり
- 移住や投資を通じて「日本⇒海外」の海外送金を経験
- 帰国後は「海外⇒日本」の海外送金を経験
- 仕事上も小さな会社のCFOとして多様な海外送金を経験
この記事を書いているこまちは、海外送金歴かれこれ20年。いろいろな海外送金を体験してきました。
当ウェブマガジンでは、海外送金・外貨両替・国際派のマネーに関する情報を、わかりやすくご紹介しています。
本記事では、三菱UFJ銀行の海外送金を利用するうえで理解しておきたい点をご紹介しますから、ぜひじっくり読んでみてください。
*当記事は、データの日付を個別に明記しているものを除いては、2021年3月時点での情報を参考にしています。各サービスのご利用にあたっては、必ず最新の情報をご確認ください。
三菱UFJ銀行による海外送金のメリット
いろいろな方法での海外送金に対応
三菱UFJ銀行の海外送金では、大きく分けて、下記の3つの方法があります。
- インターネットバンキング(三菱UFJダイレクト)
- テレビ窓口:店舗でオペレーターとテレビ電話で話しながら手続き
- 店頭窓口:外国送金Webサポートのサービスあり。通常の店頭窓口での手続きよりも手数料割引
他の銀行では窓口での海外送金手続きを中止または縮小している状況があるなかで、店頭窓口での海外送金サービスを引き続き提供しています。インターネットでは扱えない大きな金額を海外へ送金したい場合には、三菱UFJ銀行は貴重な選択肢と言えるでしょう。
三菱UFJダイレクトの利用で優遇レート
インターネットバンキングである三菱UFJダイレクトの利用で、主要国通貨(米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、NZドル、スイスフラン)について、上乗せされている為替マージンが窓口でのレートよりも低い優遇レートを利用できます。
いろいろな手数料に注意
この場合には、両替済みの外貨普通預金口座から外貨を引き落として送金することになるので、後述するリフティングチャージが別途かかってきます。他の送金方法との比較には、合計の送金コストで判断する必要があります。
グローバルダイレクトで海外へ行っても利用可能
海外へ行ってからも利用できる銀行口座は限られますが、グローバルダイレクトのサービスを利用することで、海外勤務・海外留学の期間にも、少額の月額利用料で三菱UFJダイレクトを利用できます。
海外から自分自身で送金手続きできるのはもちろん、国内外の送金・振込み手続きができるので、長期の海外滞在時にも便利です。
詳しくは、以下をご参照ください。
合計の送金コストを理解する
三菱UFJ銀行の海外送金では、表面的な送金手数料に加えて、上乗せレートからくる為替手数料がかかっています。
送金コストをおさえて送金したいと考える方は、為替手数料を含めた合計の送金コストを理解&別の選択肢も合わせて検討して、総合的に判断をするようにしましょう。
ここでは、別の選択肢のひとつとして、為替手数料がかからないワイズ(旧トランスファーワイズ)の比較例を掲載しますので、参考にしてください。
下の表は、30万円をオーストラリアへ豪ドルで送金しようという場合の、三菱UFJ銀行(窓口と三菱UFJダイレクト)とワイズを利用した比較シミュレーションです。(シミュレーションなので、細かい金額ではなく、全般的な傾向を知るための参考として捉えてください。)
【三菱UFJ銀行とワイズの比較例:30万円を円⇒豪ドルでオーストラリアへ送金の場合】*
三菱UFJ銀行 窓口 |
三菱UFJ銀行 三菱UFJダイレクト |
ワイズ 旧トランスファーワイズ |
|
送金額 | 300,000円 | 300,000円 | 300,000円 |
送金手数料 | 7,500円 *1 | 3,000円 | 1,940円 *2 |
送金できる金額(両替額) | 292,500円 | 297,000円 | 298,060円 |
上乗せレート | 2円 | 0.5円 *3 | 0円 |
両替レート | 82円 | 80.5円 | 80円 |
受取人の受取額 | 3,567豪ドル | 3,689豪ドル | 3,726豪ドル |
為替手数料 | 7,120円 *4 | 1,840円 *5 | 0円 |
リフティングチャージ | 0円 | 2,500円 | 0円 |
手数料合計 | 14,620円 | 7,340円 | 1,940円 |
送金にかかる日数 | 公式発表見当たらず |
公式発表見当たらず |
0-2営業日 |
公式サイト | 三菱UFJ銀行の外国送金 | ワイズの海外送金 |
*:仲値で1豪ドル=80円の場合の比較例。振込手数料、中継銀行手数料・受取手数料を無視。四捨五入して計算。
*1: 窓口現金扱い、他行宛ての場合
*2: ワイズの送金手数料計算ツールより
*3: 三菱UJダイレクト利用時の豪ドルの上乗せレート0.5を利用
*4: (292,500/82 - 292,500/80) x 80 = (3,567 - 3,656) x 80 = -7,120円
*5: (297,000/80.5 - 297,000/80) x 80 = (3,689- 3,712) x 80= -1,840円
総額の送金コストの把握には、両替レートの上乗せレートからくる為替手数料の理解が重要であることがわかります。(他の主要通貨での比較については、主要通貨の海外送金コストの比較ご参照ください。)
大切な資金を賢く使うためには、手数料合計で比較するという視点をもつようにしたいですね。
ワイズ(旧トランスファーワイズ)について
上記の計算例からわかるとおり、ワイズには両替時の上乗せレートがありません。
そのため、一般的な海外送金で隠れコストと言われる為替手数料がないので、手数料がわかりやすいという特徴を持っています。
送金にかかる日数についても、海外送金にかかる日数・時間で詳しく見たとおり、銀行宛ての送金であれば、一番速いカテゴリに属しています。「安くて速い」海外送金方法を探している場合には、おすすめの選択肢のひとつです。
ワイズ(旧トランスファーワイズ)の特徴については、下記の記事も参考にしてください。
-
【ワイズ(旧トランスファーワイズ)の海外送金】隠れ手数料なしが安心!
続きを見る
三菱UFJ銀行による海外送金の留意点
「海外送金に慣れていない」場合には、メガバンクのなかでは頼りになる三菱UFJ銀行の海外送金ですが、利用にあたってはいくつか留意しておく点があります。
・三菱UFJ銀行に口座を持っていることが必要
三菱UFJダイレクトだけでなく、窓口での海外送金であっても、三菱UFJ銀行に口座を持っていることが必要となります。
・為替手数料に留意
上記の比較シミュレーションでみたように、三菱UFJ銀行の海外送金で利用される両替レートには上乗せレートがのっています。そのため、送金手数料のほかに、上乗せレートからくる為替手数料がかかっていることになります。送金額に比例する点、実際にいくらの手数料がかかっているのか見えづらい点に留意が必要です。
・窓口での送金手数料が高い
テレビ窓口の送金手数料が他行宛て6,500円、店頭窓口の送金手数料が7,500円です。三菱UFJダイレクトの他行宛て3,000円と比較して、ぐっと高い設定です。
・リフティングチャージ
円貨を円のまま送金、あるいは外貨を外貨のまま送金する場合には、追加の手数料リフティングチャージが送金金額の1/20%(最低2,500円)かかってきます。金額に比例するので、留意が必要です。
・送金先口座の登録が必要
優遇の為替レートが利用できるに三菱UFJダイレクトでの海外送金には、口座開設⇒三菱UFJダイレクトの利用開始⇒送金先口座の登録の手続きが必要となります。スケジュール的に余裕をもって準備する必要があります。
・三菱UFJダイレクトでの送金限度額
三菱UFJダイレクトを利用した海外送金には、1回100万円相当額未満、1日200万円相当額以下、1ヵ月500万円相当額以下という送金限度額があります。
多額の海外送金の場合には、円⇒外貨への両替についてはセントラル短資FXなどのFX口座を利用した海外送金で説明した方法を利用することで、為替手数料をぐっと抑えることができます。
FX口座開設などの多少の手間はかかってきますが、節約できる金額がとても大きいので、検討に値します。詳しくは、下記の記事を参考にしてください。
-
【FX口座での両替】多額の海外送金で手数料を節約する方法
続きを見る
三菱UFJ銀行による海外送金の基本的事項
1. 為替マージン(USDの例) |
窓口・電話: 1ドルにつき1円 三菱UFJ銀行の外国為替相場一覧表 三菱UFJダイレクトの外貨預金: 1ドルにつき0.25円 (6通貨USD, EUR, GBP, CHF, AUD, NZDについて、リアルタイムレートに基づく窓口より低い為替マージンが設定) 三菱UFJダイレクトの外国為替リアルタイムレート 三菱UFJダイレクトの為替手数料 |
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2. 送金手数料(1件あたり) |
窓口(口座引き落とし): 7,500円 窓口(外国送金Webサポート利用): 7,000円 テレビ窓口: 6,500円 インターネット: 3,000円 三菱UFJ銀行の外為手数料 |
3. リフティングチャージ |
送金金額の1/20%(最低2,500円) |
4. 受取手数料 |
送金人負担とした場合3,000円(後日に差額請求の場合あり) |
5. 受取手数料の送金人負担 |
可、ただし三菱UFJダイレクトは受取人負担のみ |
6. 中継銀行手数料 |
要確認 |
7. 円送金 |
可 |
8. 取扱い通貨 |
窓口での扱い通貨は要確認 インターネットは12通貨 (USD, GBP, JPY, CAD, CHF, EUR, PHP, THB, AUD, HKD, SGD, NZD) テレビ窓口利用は8通貨 (USD, GBP, JPY, CAD, EUR, AUD, HKD, NZD) |
9. 送金限度額 |
窓口:要確認 三菱UFJダイレクト:1回100万円相当額未満、1日200万円相当額以下、1ヵ月500万円相当額以下 テレビ窓口:500万円相当額 |
10. 送金可能国 |
多数 |
11. 送金日数 |
送金先による |
12. 窓口送金 |
可 |
13. 電話送金 |
不可 |
14. インターネット送金 |
可 |
*上記は、記事掲載・更新時点での個人による海外他行あて電信送金を前提にしています。ご利用に当たっては、必ず最新の詳細情報をご確認ください。
まとめ:大きな金額の送金には貴重な選択肢
三菱UFJ銀行での海外送金は、外国送金Webサポートやテレビ窓口など、他の銀行送金にはないサポートメニューがあり便利です。金額が大きい海外送金で、FX口座を利用して両替手続きする時間がない場合には「海外送金の手続きをすべて三菱UFJ銀行で行う」ことが選択肢となってくるでしょう。
ただし、合計の送金コストは高くなりますから、コストとスケジュールを含めた総合的な視点での判断が求められます。
状況が許せば、送金コストを抑えることができる方法(ワイズやFX口座を利用した海外送金など)を合わせて検討して、大切な資金を有効に使うようにしたいですね。