所得税・住民税での居住者・非居住者の判定について

税法上の居住者・非居住者を理解しておこう

海外滞在のイメージ写真・ブリスベンシティの画像

 

人生100年と言われる時代、長い人生のあいだに何度か日本の税法上の非居住者になりながら、日本と海外を行ったり来たりする人も増えてくるでしょう。

 

海外赴任・海外就職留学・ワーキングホリデー海外ボランティア・海外フリーランス海外ロングステイなどで、海外長期滞在の予定があるのであれば、自分が税法上の「居住者のままなのか」あるいは「非居住者となるのか」を理解をしておくと、税金や社会保険の手続きを理解しやすくなります。ときには、ほんの数日がずれることで、金額的に大きな違いとなる場合もあります。

 

非居住者となれば、海外へ行ってから使える銀行口座の準備やマイナンバーに関する理解も必要となってきます。

 

このコーナーでは、海外長期滞在にあたって最低限は理解しておきたい内容を見ていきましょう。

 

 

 

尚、当記事は「個人」の場合を前提にしており、「法人」の場合には触れていません。また、記事内容は一般的な参考情報に過ぎませんので、個々の状況の判断については、必ず最新の情報で確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを得て、ご自身の責任で判断なさるようにしてください。

 

 

 

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所得税での居住者と非居住者の区分

 

「居住者なのか」「非居住者なのか」を考える場合には、どの税法に関しての区分であるかを確認することが必要です。ここではまず、所得税法での区分を見ていきましょう。

 

所得税法上の扱い

国内法による扱い

 

所得税法では、個人の場合の「居住者」「非居住者」を下記のとおりに規定しています。

 

我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。


(国税庁HPタックスアンサーより)

 

ここで、「住所」や「居所」って何だろう?ということになりますね。これらについても、それぞれ所得税法で規定されています。

 

住所とは?

 

「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。


(国税庁HPタックスアンサーより)

 

このように、「住所」は、その人の生活の中心がどこにあるか?で判断をされることになります。「生活の本拠」であるかどうかは、客観的な事実(住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍など)によって判断されることになります。

 

居所とは?

 

「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。


(国税庁HPタックスアンサーより)

 

所得税は「住民票」で即判断とはならない点に注意

一般的には、住民票を残していれば「居住者」だと理解されがちですが、必ずしもそうでない場合があることを注意しておく必要があります。上記からは、住所は「住民票」でなく「生活の本拠」で判定されることが、上記の定義からわかりますね。

たとえば、「住民票を残したまま大学4年間を海外留学した」場合、生活の本拠がないので所得税法では非居住者となるでしょう。

ただし、国外転出届を出さずに住民票を残したままであれば、その間に支払い義務のある国民年金や国民健康保険があれば支払いを求められます。そのため、長期留学の場合に、ほとんどの留学生は国外転出届を出して(=住民票を抜いて)出国することになります。このような事情から、「非居住者」となる場合は「住民票を抜いている」場合が多いと理解されます。

 

租税条約による扱い

 

租税条約は、日本と異なる規定を置いている国との二重課税の排除や脱税の防止を目的として、日本と相手国との間での合意されたものです。租税条約において、居住者の判定方法が定められています。

 

具体的には、それぞれの租税条約によらなければなりませんが、一般的には、次の順序で居住者かどうかを判定します。個人については、「恒久的住居」、「利害関係の中心的場所」、「常用の住居」そして「国籍」の順に考えて、どちらの国の「居住者」となるかを決めます。


(国税庁HPタックスアンサーより)

 

 

参考: 国税庁タックスアンサー
居住者と非居住者の区分

 

 

複数の滞在地がある人の場合

 

最近では、日本と海外を行ったり来たりと、複数の滞在地があるライフスタイルを送る方も増えてきていますね。そのような場合についても、所得税法で判定方法が定められています。

 

ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、例えば、住居、職業、資産の所在、親族の居住状況、国籍等の客観的事実によって判断することになります。


(国税庁HPタックスアンサーより)

 

永遠の旅人でも日本の居住者?

国によっては「滞在日数」によって居住者・非居住者を判定する国もありますが、日本の所得税法では上記のとおりに「滞在日数」のみでは判断されません。

つまり、海外のある国に1年の半分である183日以上滞在の場合、あるいは英語でPermanent Travelerと呼ばれる「永遠の旅人」の場合でも、「生活の本拠」が日本にあれば、日本の居住者になります。

真の永遠の旅人に「生活の本拠」があったらおかしいですけど、所得税法からもそのことが読み取れるのはおもしろいですね。

 

参考: 国税庁タックスアンサー
居住者・非居住者の判定(複数の滞在地がある人の場合

 

 

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どんな場合に非居住者となるのか?

 

では、これから留学、赴任、ロングステイなどのために日本を離れ海外へ出発する場合は、どうなるのでしょうか?

 

一般的には、前項で説明した国内法の扱いに基づいて、日本国内に住所(生活の本拠)または1年以上居所を有しない個人1年以上国外に居住する必要があると推測される個人は、所得税法上原則として日本から出国時に「非居住者」になるとされています。

 

  • 契約等により国外での海外赴任期間が1年以上の場合は、「非居住者」になります。
  •  

  • 海外留学の期間として1年以上を予定している場合は、「非居住者」になります。
  •  

  • 海外留学や海外ロングステイなどで、海外滞在期間が1年未満を予定している場合は、「居住者」のままとなります。

 

尚、上記はあくまで一般的なケースです。

 

自分や家族の具体的なケースについて確認したい場合には、国税庁の税についての相談窓口を利用するとよいでしょう。

 

国税局へ電話するというと敷居が高いと感じるかもしれませんが、怖いことは何もなく、匿名&無料にて利用可能です。担当者が丁寧に説明をしてくれます。説明を受けたら、念のため回答してくれた担当者の名前を聞いて、日時とともに控えておくようにしましょう。

それでも迷う場合には、税理士などの専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

 

また、金融機関によっては、口座所有者が手続きにあたって判断しやすいように、非居住者に関する説明をウェブサイトに掲載しているケースもあります。口座を持っている金融機関で手続きをする際には、これらも参考にして口座を持っている支店やカストマーセンターなどに問い合わせて確認するようにしましょう。

 

以下は、ソニー銀行とSBI証券の例です。

 

(*)非居住者とは
日本国内に住所または1年以上居所を有しないかた、1年以上国外に居住する必要があると推測されるかた、契約等により日本国外での勤務時間が1年以上または未定のかたなどは、税法上、原則として日本からの出国時に「非居住者」となります。


(ソニー銀行HPより)

 

非居住者の定義
外国にある事務所(本邦法人の海外支店等及び現地法人並びに国際機関を含む)に勤務する目的で出国し外国に滞在する者。
2年以上外国に滞在する目的で出国し外国に滞在する者。
本邦出国後外国に2年以上滞在するに至った者。
1年以上にわたり日本以外に居住する者。
期間の定めのない海外転勤、海外留学。
上記に掲げる者で、事務連絡、休暇等のため一時帰国し、その滞在期間が6ヶ月未満の者。(但し、上記に関わらず、本邦の在外 公館に勤務する目的で出国し、外国に滞在する方は、「居住者」として扱われます)


(SBI証券HPより)

 

 

外国の居住者となるかどうかは別の判断

たとえば、オーストラリアに滞在していて、オーストラリアの税法上の居住者となるかどうかは、オーストラリアの法令によって判定されますので、上記で説明した日本の所得税法の判定とは違ってきます。


日本とオーストラリアの両方の居住者と判定される場合には、租税条約によって判定されます。このような微妙なケースの場合には、両方の国の税制に詳しい専門家のアドバイスを受けるようにしましょう。

 

 

住民税の一般的な取扱い

 

地方税である個人住民税は、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」と所得金額にかかわらず定額で課税される「均等割」があります。

 

日本で所得のある人が、これから海外長期滞在をする場合には、住民税の納税義務についてしっかり理解しておきましょう。

 

住民税の納税義務

 

  • 原則として、所得割も均等割も、その年の1月1日の時点で日本に住民票の住所のある人に、納税義務があります。
  •  

  • 1月2日以降に出国したり死亡したりした場合においても、納税義務が発生します。

 

一般的には、海外留学や海外赴任の理由で出国し、1月1日をまたいで概ね1年以上海外で居住する場合は、日本国内に住所を有しない者として取り扱われて、住民税は課税されません。

 

「1年未満の海外出張」「旅行に過ぎない」「居住とはいえない」などと判断された場合は、日本国内に住所を有するものとして住民税が課税されるため、注意が必要です。

 

 

出国のタイミングに気を付けよう

 

特に気を付けなくてはならないのは、1年以上の海外滞在で年末から1月にかけて出国予定の場合です。

 

この場合、12月中に役所に国外転出届を出して出発(出国)すれば、翌年の住民税の納税義務はありませんが、1月になってから出国すれば、納税義務があります。前年の所得金額によっては、出国のタイミングがたった数日違うだけで、何十万円もの差になります。スケジュール調整が可能な限り、年内に出国するようにプランしましょう。

 

住民税は結構な金額になっています

会社勤めをしていると、住民税は前年の所得に基づく住民税額を、6月から翌年5月に給与から引かれて徴収されています。そのため、住民税が年額でどのくらいなのかを、はっきり把握していない場合も多いかもしれません。

住民税の税率は自治体によって変わってきますが、一般的なケースで計算をしてみると、独身(扶養者なし)の場合の住民税の目安は以下のとおりになります。

年収200万円: 約6万円
年収300万円: 約12万円
年収400万円: 約18万円
年収500万円: 約24万円
年収600万円: 約31万円
年収700万円: 約38万円
年収800万円: 約46万円


このレベルの住民税がかからないとなれば、12月に出国して滞在費が増えたとしても、住民税がかからないほうが負担が小さいという方も多いのではないでしょうか?大晦日に出国して飛行機でニューイヤーを迎えていた友人がいましたが、きっと節約できる金額は大きかったと思います。

 

 

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ワーキングホリデーでの出国で住民税を課す自治体もあり

 

ワーキングホリデー での出国の場合、現地でビザを延長したり学生ビザで学業を続けたりと、海外滞在の予定が1年以上の場合もあります。

 

ただし、自治体によっては、1年以上の海外長期滞在であっても、ワーキングホリデービザは観光ビザの一種として、その滞在を旅行とみなし、出国する前に居住していた市区町村に住所があるものとして、住民税を課す場合があります。

 

あとから納税通知がきて驚くことのないように、自分が住んでいる市区町村に、ワーキングホリデービザで出国の場合の扱いを確認しておくほうがよいでしょう。

 

参考(ワーキングホリデービザでの出国で住民税を課す自治体の例):

 

 

税目による扱いの違いにも留意

 

所得税・住民税では非居住者であっても、税目によっては扱いが違ってくる場合もあります。

 

たとえば、留学をした子供が留学中も親の被扶養者となっていた場合、相続税や贈与税において日本の居住者として扱われる場合などが考えられます。

 

家族での海外移住や海外不動産購入においては、きちんとしたタックスプランニングに基づいて、海外送金でお金を動かすタイミング、非居住者となるタイミング、投資&不動産購入のタイミングなどを検討したほうがよいでしょう。特に、国際税務の分野は、素人が調べても気がつくことができない規則や盲点がある場合もあります。国際税務に詳しい税理士にアドバイスしてもらうことをおすすめします。

 

 

 

海外送金ラボ的まとめ

 

管理人画像

 

税法に関する各種手続きはわかりづらいですが、銀行口座や資産運用にも大きく影響してくるので、海外に長期滞在するならば、避けては通れないテーマですね・・・

 

海外長期滞在を予定している方は、自分が「税法上の非居住者となるのか」をきちんと確認して、海外へ行ってからも使える銀行口座を準備しておきましょう。さらに、マイナンバーについての扱いも、合わせて確認しておくと安心ですよ~


 

あわせて読みませんか?~マイナンバーについてはこちらへ

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2017/11/9  2018/4/10

 

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